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 おわりに

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少し強めの春の日差しの中、便利屋が庭の雑草をせっせと抜いています。
「便利屋さん、精が出るねえ、ほれ、冷たいお茶をどうぞ」
「ありがとうございます」
「ところでどうだい、仕事が終わったらいっちょ将棋でもやらんか?もちろん時間給は払うよ」
「いえいえ、ご主人、ご主人とご相手出来るのならお金はいりませんよ」
「そうかい、じゃ、容赦はしないよ」

便利屋の仕事が終わりました。
「ところでどうだい、最近は随分忙しそうだね」
「おかげさまで、いろいろな仕事を頂くようになりました」
「ほう、どんな仕事かね」
「詳しくは言えませんが、昔ならありえなかった様な仕事ですね」
「例えば?」
「幼稚園の願書取りに並んでくれとか」
「そんなもの、親が並べばいいじゃないか」
「風邪で熱があるので、ペットボトルの水を買って来てくれとか」
「そんなもの、友達に頼めばいいじゃないか」
「隣の家の人がうるさいので黙らせてくれとか」
「そんなもの、自分で言えばいいじゃないか」
「......それが出来なくなっている世の中なんです。仕事が忙しくて家の事がなかなか出来ない。転勤で引っ越してきて友達はいない。マンションの両隣の人とは挨拶以外したことはない。そんなこんなで、今までの様な草むしりや修理以外の仕事がめっぽう増えてきました」
「世知辛い世の中になったもんだね。ほら王手」
「おや、負けちゃいましたか」
「と言いながらだね、私だって便利屋さん、あんたがいなければ将棋の相手はいないわけだよ(笑)」

世の中の付き合いが希薄になっていく中、高齢化や少子化で身寄りが少なくなっていく中、便利屋の仕事は増え続けて行きます。
昔なら、隣近所の人に手伝ってもらった用事は便利屋に向けられ、親や子が行っていた用事も便利屋に向けられ、友達や先輩後輩に頼んでいた手伝いも便利屋に向けられています。
「そうか、そんなに便利屋の仕事は増えているのか!じゃ、俺も脱サラして便利屋になろうか」
そんな人たちも最近では多く現れている様です。
では、仕事が増えたから誰でも便利屋になれるか?
答えはNOです。
その証拠に現在は忙しい便利屋とまったく仕事のない便利屋にはっきりと分かれています。
その理由は、便利屋の「人となり」です。
いくら技術があっても仕事が上手でも、はじめは見知らぬ人の家に入り込む商売ですから「人となり」がよくなければ決してリピートはありませんし、紹介もありません。

「ほら、便利屋さん、もう一丁行こうか」
「よーし、今度は負けませんよ」
「ところで、来週、孫が来るので家の中をキレイにしておいてくれんか」
「へい、お安い御用で」

(この文章は、現役便利屋兼ライターがお届けした記事です。お読みいただきありがとう御座いました。)

もくじ

便利屋って何だ?
そもそも便利屋って?
便利屋のイメージとよくある誤解
便利屋はどんな仕事が出来るの?
便利屋が出来ない仕事
こんなときに便利屋に頼むと便利
便利屋のここが不安
本当に何でも出来るの?
サービス内容が分かりにくい
料金が分かりにくい
情報が少なすぎる
秘密やプライバシーは守ってくれるか?
いざ便利屋に頼むとすれば
良い便利屋の探し方
問合せの方法は?
見積りで失敗しないために
適正価格の判断基準
専門業者か便利屋か?
こんな便利屋の使い方が便利でお得
掃除・片付けなら、こう使え!
引越しならこう使え!
代行してもらうなら、こう使え!
遠方からの依頼は、こう使え!
修理を頼むなら、こう使え!
トラブルにならないために
便利屋との上手な付き合い方
おわりに

番外編:便利屋インタビュー

1.依頼者と便利屋の架け橋に
2.便利屋になった理由は「怖いもの見たさ」
3.便利屋が全部出来るわけはない
4.便利屋の仕事はどれも楽しい
5.本当は便利屋なんていらない
6.依頼者は一人暮らしの女性が多い
7.意外に少ない大工仕事
8.遠方から依頼して得する便利屋活用法
9.入り口よければ出口よし
10.一生付き合えるのが便利屋

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